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多雨環境下にある日本の土壌は酸性化しやすく,果樹栽培や畑作では石灰等によるpH調整が行われることが多い.樹木根の中でも養分吸収に関与する細根と,細根に共生する菌根菌は主に土壌表層に分布しており,石灰施肥によるpHの変化の影響を受けやすいと考えられる.しかし,石灰施肥が細根特性と菌根形成に及ぼす影響を調査した研究例は少ない.そこで本研究では,主要な果樹であるクリを対象に,石灰施肥によって細根の量と形態,菌根形成率がどのように変化するのか調べた.調査地は山梨県北杜市のクリ園とした.クリ成木の周囲に石灰施肥区 (40 kg CaO ha–1) と無施肥の対照区を設け,イングロースコア (プラスチック製メッシュ円筒) を埋設した.施肥と円筒の設置は2016年5月または7月に行った.同年10月に円筒内部に進展した根系を回収し,細根成長速度と細根の形態および菌根形成率を調べた.その結果,5月処理区では施肥区の方が対照区よりも細根成長速度が高かったのに対し,7月処理区では両者間に違いは見られなかった.根の形態の指標である微細根長比 (Very fine root ratio,VFRR) は,施肥区と対照区間で有意な差は見られなかったが,5月処理区の方が7月処理区よりも高かった.菌根形成率はいずれの区においても約4-6割で,有意な差は見られなかった.以上から,このクリ園では春に石灰施肥を行うことで,菌根の形成率を低下させることなく,細根成長を促進させることができると考えられた.